店じまい・店びらき ~閉店のヘキレキ~

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2009年 05月 02日

女装

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by misejimai | 2009-05-02 10:25
2009年 05月 02日

e0030939_938319.jpgこれはひらがなの「ゆ」である。
1年前の4月21日に閉店した上野駅前のレストラン、聚楽台の看板につけられていた「ゆ」である。
















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今年の2月14日、深夜2時すぎに通りかかったら、解体作業をしていたので、近くで歩行者を誘導している作業員さんに話しかけた。
作業員はなぜかぶっきらぼうというイメージがあるが、ほとんど喋る機会がないので、
誰かに話しかけられると嬉しいらしい。

近寄ってきて、「はい、何か?」
「あ、この看板、いつ取り外されるのかと思って」
「あ~、天下の聚楽だもんね。聞いてみます」

呼んできたのが解体業者の会社の現場主任だった。原さんという。名刺を渡される。ちょっとテンションが上がる。
「いやあ、あと1週間で終わらせなきゃいけないんだけど間に合うかな」と原さん。

どうやら工期が遅れると怒られるらしい。
工事はえてして公道を占有するから、都に申請しているんだそうだ。
そして、なんなら、いつも怒られているそうだ。
雨の日の工事は特に電気関係に注意だという。ショートして感電する危険があるからだ。










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閉店しても、解体の現場にはなかなか遭遇しない。
せっかくなので夜ごと、工事を見に行った。
大体12時30分から5時まで行われる工事を、毎晩見に行くのである。

深夜でも、上野のダンボーラーやリヤカーを引いたおじさん、怪しいアベック(カップルという言葉は似合わない)など通行する人は意外に多い。
しかし解体に誰も足を止める人はいない。
たまに通行人が通ると嬉しそうに誘導灯を振る作業員。

どんどん周囲が白い壁になっていく。
そして看板も順調に取り外されていく。
作業員からも「ああ、あの人、また来てる」という感じになった。
自分は何をやってるんだろうと雨降る中立っていた。















そして冒頭の「ゅ」を取り外す。
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最後は「楽」の下の「木」を取って看板の取り外し
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原さんは最初は建築業者だったそうだ。
しかしどこかで欠陥が見つかった場合、自分の責任になってしまう。
また、もし、完成後ミスがあったとして、途中でそれが発覚したとしたらと思うと夜も眠れないほど
不安だったという。
そして何年先、何十年先に解体されたとき、「何もなかった」とようやく胸をなでおろすというのが本音だそうだ。
だから、解体業者になった。建築業者より何十倍も楽なのだそうだ。

「原さん、今後、こんなお店のように話題になりそうな店の閉店の解体とか手がけられたりするんですか?」
すると原さんは
「いま不景気だから、今仕事がないのよ。
 昔はお金があったから閉店しても解体を依頼するところがあったけど、いまそのまま
 放置しちゃうんだよね。また景気がよくなったら、うちらも忙しくなるんだけど」

店がつぶれてもお金がないからそのままになってしまう。
いま不景気はどの業界にも忍び寄っているようだ。








来年2010年の秋、また新たなビルになったときに聚楽台がお目見えだという。
ただ、この建て替えが問題。
この建物の上には、あの西郷さんの銅像が立つ広場がある。
この聚楽台を含む上野百貨店の建物自体を不用意に取り壊すと、
広場の地盤が沈下して、
西郷さんまで倒れてしまう危険があるという。

まだまだ原さんの苦労は続くのである。

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by misejimai | 2009-05-02 10:06