店じまい・店びらき ~閉店のヘキレキ~

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2009年 03月 16日

コマはもう回らない

e0030939_9545031.jpg北島三郎、小林幸子、氷川きよし・・・
日本の演歌界を代表するスターたちが、名曲に人情芝居に、
ステージ狭しと夢を繰り広げた大衆娯楽の殿堂、新宿コマ劇場。

コマの名の由来は、ステージ上の特殊なセットにある。
デコレーションケーキのような色鮮やかな三層のコマが
上がったり下がったり、また右に左にクルクルと回転、
その上で歌手が唄い、舞い、華やかなショーを
繰り広げた。

開業から52年。年間およそ100万人、のべ5000万人もの人々が全国から足を運んだという。

味噌汁と漬物とご飯で育った世代にとって、コマの前に大型バスを乗りつけて、舞台を観に来るのが何よりの楽しみであったろうし、まさに忘れられない人生の1コマを彩っていたことだろう。

観に来られたお客さんの中にはすでに鬼籍に入られている人も多かろう。まさに冥土の土産にしていったわけだ。

きら星のごとく輝くスターたちが、紅白の出場とともに憧れた、
コマ劇場のステージ。
しかし去年の大晦日、テレビ東京の「第41回にっぽんの歌」の生放送をもって歴史に幕をおろした。




去年は実は、新宿・歌舞伎町が誕生して60年目。
もともとこの一帯は「角筈(つのはず)一丁目」と呼ばれていたのだが、歌舞伎の劇場を招致し、より文化的な町にしたいという
東京都たっての願いから「歌舞伎町」に名前が変わった。1948年のことである。
結局、歌舞伎の劇場は誘致できなかったが、街の名前は残る。
コマ劇場のオープンにより、歌舞伎町は日本の芸能文化を牽引する町として発展してきた。

そんな記念すべき2008年に、そのシンボルがなくなった。



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閉館の理由は観客動員の減少だという。

(株)コマスタジアム制作部部長・前川倫夫さん。
「ここに来てくれるお客さんはもっぱら、お年寄りですからね。
 その人たちが年をとれば、足を運んでもらう機会が少なくなっちゃう。でも、その下の世代の人たちは演歌
 聞かないんですよ。お客さんが少なくなるのは当然のことなんです」。

e0030939_2048481.jpg席数は意外と多い2923席。
日に日に、座席が埋まらなくなってくる現実をそばで見てきた人がいる。
出演者と機材を運ぶ専用エレベーターを動かしてきた菊池忠志さん。

このエレベーター自体は、昭和初期から動いているもので別の劇場で使われていたものを持ってきたものだとか。
昇降、開閉は手動。菊池さん自ら中に乗り込んでレバーで
動かす。

「舞台は戦場です。そこへ出向く兵士を20年間出迎え、送り出してきました」。

1日400回は上下させてきたというエレベーター。
ワイヤーを10年前交換しただけで、特に修理することなく動いてきたという。
もちろん無事故。

公演が続くほぼ1カ月間、エレベーターの中ではあったが大物
スターと過ごしてきた。
菊池さんから話しかけることはなかったが、彼にしか見せない
素顔が確かにあったという。






身内の不幸を本番前に知り、涙をながす人。
体調を崩し、点滴を受けながらエレベーターに乗り込む人。
待望の第一子誕生の知らせを受けて「やったー!」と歓喜する人。

「気を許すというんですかね。例外なくそう。みんな自分を演じているんです。
 でもみんな選ばれた人たちなんだなと思いました。オーラが違うというかね」

61歳のエレベーターボーイのモチベーションは、そんなスターと間近に接することのできる喜びというより、
無事に出演者を運ぶというシンプルだけど、とてつもなく大切な意識だった。


稽古がいつ終わるのか終了時間が見えないときも、ひたすら菊池さんはエレベーターの前で待っていた。
「結構、待ってるの、キツいんじゃないですか?」と僕がちょっと意地悪い質問をすると、
「芸術を作るのに時間は出せないでしょ」と言われた。

働いてくれたエレベーターを愛おしそうに動かす菊池さん。

「日本で一番夢を運んだエレベーターじゃないですかホントに」

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3カ月後、久しぶりに訪れたコマ劇場には仮囲いがされていた。
周りを取り囲むように営業していた店はすでに閉店していた。
立ち食い蕎麦屋も、
寿司屋も、
居酒屋も、
サウナも、
キャバレーも、
みんななくなっていた。


シアターアプルの横のタバコ屋がかろうじて生き延びていた。
僕は人に話を聞くとき、店のものを買う。
20歳のときに買って吸い、むせて以来、買うことのなかったタバコを一箱買い、
店のおじさんに話しかけた。
「ここも取り壊されるのですか?」
「そうだね、悲しいね」

半世紀以上、このコマ劇場からは日々演歌が流れていた。
そして今、
閉館し、もう回らないコマ劇場にも、演歌がよく似合う。
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by misejimai | 2009-03-16 21:19
2009年 03月 09日

「日本人」にアダ名をつけるとしたら

不況リストラ派遣切り・・・
ニュースの頭には必ずつくネガティブな常套句。

いつもこんな言葉を耳にしていると、
どうも気分も滅入ってくる。

「最近どう?」と言われても
「大変だけど何とかなる」とは言えず、
「まあ、なんとか・・・」としか答えられない自分。

アダ名をつけるのが上手い有吉は、
今の日本人にどんなアダ名をつけるのだろう。

優しすぎるから「心のED」とか。
人の痛みを感じないから「不感症」とか。
不安や憤りがいっぱいの「宿便民族」とか。
誹謗中傷が好きな「ニチャンネルタール人」とか。

あ~、ネガティブな言葉を使ってしまった。
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by misejimai | 2009-03-09 18:01