店じまい・店びらき ~閉店のヘキレキ~

misebiraki.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:洋品店( 1 )


2006年 06月 05日

「閉店」とは書きません

e0030939_22201049.jpg今日の閉店貼り紙は、文京区本郷の洋品店、
丸木屋洋品店。戦後からやっていた。歴史は60年ほど。


















以下は、切り盛りしていたおばあさんとの一問一答。

Q店を閉める転機となったのは何ですか?
 景気も良くないし。なにしろ、くたびれた。病気もしたし。継ぐ人もいないし。
 あと店は借りていたんだけど、建物の建て替えがしなきゃならなくなって。
 そんなときに兄弟から引っ越してこないかという誘いがあって。
 

Q一番の想い出は?
 創業当時。配給制で、病気の診察も医療券が必要だった。
 そんな中で店を立ち上げてとにかくドタバタしてたけど、一番楽しかった。


e0030939_22271243.jpg創業した父の背中を見て育った
いつしか自然に店に立っていた
働いて働いて、気づいてみたら
七十ウン歳、独り


















店がある菊坂下の通りには、かの樋口一葉が居を構えていた家があります。
父を喪い、男のいない家の戸主。
細身にのしかかる家計の崩落。
暗い崖下の生活から這い上がろうとして小説を書き始めた一葉。
結核に追われながら一気に才能を開花させましたが、ついに魔に追いつかれ、
24歳で急逝します。

そんな菊坂下で、父亡きあと、同じように女手一つで切り盛りしてきた丸木屋洋品店。

貼り紙に『閉店』と書いていなかったことについて女主人は、わざと言葉を濁しました。
その意地に、一葉を感じたのは気のせいでしょうか。

[PR]

by misejimai | 2006-06-05 22:36 | 洋品店