店じまい・店びらき ~閉店のヘキレキ~

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2007年 01月 13日

人間は、少し貧しいほうが幸せになれるのです

西新宿7丁目。
盛りのついている酔客が通り過ぎる路上の片隅に打ち捨てられた肉片が、
日本人の指から零れ落ちた幸せの破片の象徴・・・

さてそのお隣にある8丁目は今、再開発のためほとんど全ての敷地が立ち退きしている。
青梅街道の北側である。
戦後の焼け野原か、再開発の絨毯爆撃を受けている。

夜の小路をさまようと見えてきたバー「やすこ」。
e0030939_2340638.jpg店の記憶を聞こうとも、人の気配すらない一帯にその
寄る辺もなく、ただシャッターを切る。

しかし隣に「おかまバー」があった。
夜の海のような静寂が支配する中、その場所だけ強烈な磁場を放っていた。

店内から差し込む光に反射されて店主の顔は見えなかったか、そとれも僕が目を
合わせなかったか。



「今はどこにいっちゃったかね~」。
ただ分かったのはその名の通り、やすこさんが切り盛りしていたということだった。


貼り紙
e0030939_23413856.jpg

おかまバー以外あまりに人の匂いがしないので誰か声を聞きたくて歩いていると、
交番があった。
僕 「この辺は再開発が・・・」
店主「そうだねぇ、何もなくなっちゃったね~。道の反対側が特にひどいね。こっちは
    まだ整理がついてないみたいだね」

わずかな出会いでも大事にしたい警察官も珍しい。
彼は人に飢えているかのようにその後もいろいろしゃべって
くれた。

さらに道を歩いていくとクリーニング屋や中華料理屋、コンビニなどがぽつぽつ
見え始める。
ここでも住人たちは特に避けることなく話をしてくれた。
再開発の真空地帯によってバラバラになったコミニュティに
人情が育つという奇妙な逆転現象。

ヘッドラインは、ビルマの高僧が言った言葉である。
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by misejimai | 2007-01-13 23:58 | バー
2006年 07月 15日

初めてのバーボンを口にしてから、僕はどの階段を登ってきたのだろうか

e0030939_010912.jpg今日の閉店貼り紙は、
新宿のショットバー
Bogey’s Bar。

新宿松竹会館ビルの再開発を
受けて閉店、新宿ゴールデン街へ移転した。
このビルには新宿ピカデリー、
映画の前売り券売り場、
ウエンディーズ、
カレー屋C&C、
ビデオ屋などがあったが
全て取り壊された。













e0030939_0324827.jpg横長の狭いスペースにびっしりと
バーボンが並んでいた

スタンディングで飲む人、
1杯のバーボンを一気に
飲み干し、帰る人

反対側には、さくらやのゲーム館
青年らが立ち止まって大画面の
ゲームに興じている真向かいに、
西部劇から出てきたままの空間が扉の向こうにあった

大学生の頃、「ワイアット・アープ」を観た帰り、
自分も「らしく」、ここで一杯やった
初めてのバーボンに手が震えた
12年前
種類は忘れたが、鼻に抜けた強い香りが、
お前にはまだ早いと言ったような気がした





その後、登っていくことになった大人という階段
とりたてて踏み外してもいないが、常に後ろを振り返りながら、
この階段で良いのかと思いながら来た




e0030939_6315189.jpg
この建物は解体されて3年後、
シネコンとして復活するという

それまで、
あのときグラスを握ったその手に、夢はまだ残っているだろうか

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by misejimai | 2006-07-15 00:59 | バー