店じまい・店びらき ~閉店のヘキレキ~

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2010年 10月 13日 ( 1 )


2010年 10月 13日

温度差

あの日行けなかった六厘舎へ行ってきた。もちろん閉店したあとである。
六厘舎を経営している広報の方から、
「是非行ってみてください。あそこへは今から考えたら出店しません」
としきりに言っていた。
ネットで調べたおおざっぱな地図。
ノートの切れ端に書いていたら、肝心の目的地部分が破けていて、よく分からない。
でも住所は書いてあったのでそれを頼りに行く。
西口。
西口、と。
東口はカフェ・ウブドの閉店のときに行ったが、ほとんど降りたことはなかった。
多分閉店の旅以来5年ぶり。
あのときのつけ麺大王は君臨している。
この道か。
坂道を上がっていく。住宅街へ。多分そうだ。そう言っていた。
帰宅途中のOLやサラリーマンが坂をおりてきたり、あがってきたり。
僕はそのどこにも属していない。
まさか閉店後来るとは誰も思うまい。
夜道をあがっていく。くだんの住所へ。民家っぽい。ぐるっと回ると確かに貼り紙がしてあった。「一時閉店」と書いてある。「物件を一生懸命探し中」とも書いてある。

話を聞いたとき広報の人が言っていた。住民にとっては「近くて遠いラーメン屋だった」と。
ちょっと名言である。

行列で閉店。
そんな理由聞いたことがなかった。
確かに閉店したことが記事になっている写真や、ラーメン屋の特集本では、店を囲むように並んでいたっけ。
今ではあの喧騒が嘘のようである。もしかして嘘なのか。
何事もなかったかのように人が行きすぎる。
住民が自転車を蹴って家路に急ぐ。

老人ホームで仕事をしているという人が施設の裏手でタバコをくゆらしている。
「ああ、行列並んでたね。迷惑してた?人それぞれじゃないの?だって必死でしょお店にしちゃ。
僕は行列並んでる店行かないの。美味しくないじゃん。並んでて行って食べて
美味しかったためしがない。だって池袋の大勝軒だって一度も・・一度も行ったことないもん」

お店の真裏の家。
用件を伝えるとインターホン越しに
「ご苦労様です。でもマスコミには一切答えてこなかったから」
だから、そういうのは受けてませんので」

裏手の家。中で子どもたちが騒いでいる。
インターホンを鳴らす。
「わ~誰か来たぞ」
しばらくして母親らしき人が出た。
要件を伝えると、「いま忙しいので」ガチャ。

店の左隣の小売店。野菜や生鮮食品などを売っている。
特に買うものがないので、仕方なく店の外からアイスを取りだしてレジへ。
「行列で大変だったんですよね」
「ああ、そういう人もいたみたいね。家の前に並ばれたらたまったもんじゃないもんね。
わたしのところには並んでなかったから良かったけど」

坂の途中の酒屋。
ジュースらしきものも見つからないので、普段あまり飲まず、買いたくもない熱いコーヒーを中から取り出して買う。
「六厘舎閉まっちゃいましたね」
「ねぇ~・・・・」
「えぇ・・・・・・・・・・・行列で迷惑されてたって聞きましたけど」
「お店、次決まったのかい?」
「えッ? 今探してるらしいんですけど賃料が高いようで・・・」
「ああ、そう、、、、早く決まるといいねぇ」


帰り際、先ほどの家から子どもの嬌声が聞こえる。
不発。何も収穫が無いまま帰ることにする。
バッグに入れていた缶コーヒーが、アイスを溶かし、べちゃべちゃになってしまっていた。
こうしてる間にも溶けて行く。
大崎へコーヒーとアイスを買いに来ただけだった。
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by misejimai | 2010-10-13 18:44