今日の店じまいは、北区滝野川にあるパン屋さん
「丸十カーザー」。
1月31日に閉店。
貼り紙の前で写真におさまるのがその店主、山口行夫さんだ。
42年間、コロッケパンやあげパン、魚肉ソーセージが入った
にくパンなど、
街に美味しさと笑顔を届けてきた、滝野川のジャムおじさん。
奥様と二人三脚で営み、商店街の入り口に構える店を
行列のできるパン屋にしてきた。
残り物は安く売らないことがモットー。常に夜7時まで売り切れる店を目指してきた。
※何もなくなった店内に残る、パンなどの値段が書かれた張り紙。
娘2人が生まれた時点で
後継者はあきらめていたという。
4年前、中山道をはさんだところにあった
池袋商業高校が統合・移転し、
高校生のお客さんが減った。
風がいつもより強く商店街の幟を揺らしているから
幾分、僕の声も大きくなる
BGMはひな祭りの曲だ
ループで流れるのん気な音が、真面目すぎる話を茶化している
2月末の散歩
偶然の来訪
3月1日の取り壊し
僕はこのジャムおじさんと話した
でも店にはパンの残り香はどこにもなかった
「次はタバコ屋になるんだ」
そう言ったジャムおじさんの顔が赤いのは
ほろ酔いじゃないぜ
やり終えた満足感で顔が紅潮してるんだ
風はまだ強い
話を聞いている間じゅう、山口さんは行きかう人とみんな面識があるのか、
挨拶が絶えなかった。
商店街を歩くとそこかしこに、立ち話の花が咲いている。
声がある商店街がうらやましく感じた。