いつもは通り過ぎてしまうのに、
ある日ある時、無性に日高屋に行きたいと思うことがある。
中華そばが390円という値段の安さは魅力的だが、
行きたくなる理由はやはりその味にある。
「昔」がいつなのか、人にもよるが、
必ず通ってきた優しい味。
そして・・・
提げられないままの皿も、
ぬるい水も、
選曲の理由がよく分からないBGMも、
見事なほど、昔から見てきたラーメン屋だった。
ただ一つ、「時代も変わったな」と実感することと言えば、
店員に外国人が増えたことだろうか。
「チュカソバ、イチョー」
「ドウゾ」
「アリヤシター」
僕の行きつけの店にはチューヤンみたいな中国人が接客していた。
しかし、ずっと観察していると彼は徐々に日本語がうまくなっていき、
いつの間にか「中華そば一丁」とちゃんと言えているのだった。
だが。
別の日に行くと、またカタコトに戻っているのだった。
でも、店じまいする最後の日は、きっと精一杯の日本語で
「長い間、ありがとうございました!!」
と深々と礼をしたことだろう。
僕はそう信じている。