閉店ファンの間では伝説と言われる垂涎の貼り紙がある。
それは、神楽坂にある、いやあった鰻屋さん、「大和田」のそれ。
「お客様各位 専門のうなぎ屋の時代は終わったと感じますので、
初代より70年にわたるうなぎ屋をこれにて幕引きといたします。
長らくごひいきいただきましたお客様に感謝いたしますとともに、
ご多幸をお祈り申し上げます。大和田 店主敬白」
「閉店」ではない、「幕引き」。
そして今朝の貼り紙もそうだが、お客様への謝意。
日本人の言語感覚のセンスの良さや美徳が凝縮されている。
近頃の貼り紙はどれも紋切り型でセンスがない。
だいたいが、手紙や書き方の文例集に、「閉店のお知らせ」という章があること自体
哀しい。
汗水たらして開業して、最後はそんなものに頼るのか。そんな、軽いものなのか店って。
とりあえず、大和田の貼り紙を撮っていらっしゃる同志はご一報ください。