今回の閉店は渋谷・道玄坂小路のパン屋、
「フレッシュマンベーカリー」。
実は8年前の1997年に閉まっている
のだが、店舗自体は残っており、
入り口には、閉店を伝える当時の新聞の
切り抜きが貼ってあった。
「お客さんの喜ぶパンを安く食べてもらおう」というモットーから、
1個130円から200円という安さで手作りのパンを作ってきた。
昼間は近くの会社や店に勤める人でにぎわった人気のパン屋さんだった
しかし1997年、
ご主人は消費税が5%に上がると聞き、
「お客さんのために値上がりしたくない」
と店を閉めることを決めたという
お客さんには閉店の1週間前から貼り紙で知らせた
それを見て、毎日買いにきたOLは
最後の日、
「おいしいパンをありがとう」
とプレゼントを持ってきてくれたという
今、この界隈で威勢がいいのは、風俗店の客引きの声だけだ
渋谷に宿る退廃の中で 店は赤胴色の輝きを放ち
今 自らセピア色に成り代わり 高らかにノスタルジーをうたうのだ
ふと振り返るとパンのいい香りがした
なんだ、雨の匂いか