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店じまい・店びらき ~閉店のヘキレキ~

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2009年 06月 30日

遊び半分

遊び半分_e0030939_2105696.jpg今日の店じまいは、3月末に閉店したリュネットジュラ プチ。
原宿・表参道で20年。
フランスをはじめ、世界じゅうから様々なメガネを仕入れては、いつも新鮮な驚きと
喜びをもたらしてくれた。
メガネも服のように自分好みに自由に装うことができるファッションアイテムということを教えてくれた店。






















遊び半分_e0030939_2115939.jpgもともとこのお店は同潤会アパートの3階にあった。
石段をのぼり、あがったところに突然現れる、見たこともないデザイン・色・形状のメガネたち。

どこか人とマネしたくない-
たいしてルックスもよくない、服のセンスも決して
良いわけでもない。
唯一、なんだか自分らしく差をつけられるのが
メガネだった。











遊び半分_e0030939_213072.jpgそのとき、代表の高橋さんは僕に赤いメガネを薦めてくれた。
赤いメガネを当時付き合っていた彼女に見せたら「え~、何それ」と絶句した。
だが僕はそのお店を見て欲しくて彼女を連れて
行ったこともある。
視界に入る赤に何だかいつもより気持ちが高まるのを感じたものだった。











その後、いくつかメガネを買った。
見た感じ、奇抜なものは意外と少なくなっていったように思う。
上半分とした半分が色違いという挑戦的なモノもあった。


遊び半分_e0030939_2164732.jpg高橋さんは親のメガネ店を引き継いで2代目。
とある知り合いから、外国にはこんなメガネがあると教えてもらった。高橋さんは衝撃を受ける。

周囲の反対を押しのけて、
「日本未発売の、どこにも置いてないメガネ」を
自ら海外へ足を運び、展示会に出向き、
工場に赴いて、熱意を伝え、そして日本に
ニュースタイルを次々と持ち込んできた。

だが、店に来てもらわないことには始まらない。
同潤会アパートの前の道でチラシを配り、
店に案内して、とにかくメガネをつけてもらった。
直接買わなくても、人々にメガネの楽しさを伝えて行った。
次第に自分のやり方が間違っていないことを感じるようになったという。




日本のオシャレメガネ文化の一端を担う第一人者は、この高橋さんなのなのである。
次第に「メガネの自由度を紹介していくことが神が与えた義務」とさえ思えてきた。
ただし、ビジネスというより、「遊び半分」で。
自らも楽しみながら店を切り盛りしてきた。それが店の雰囲気を作り、
同じ空気を吸いたい店員を呼び、僕らを引き寄せてきた。


同潤会アパートが取り壊され、路地裏の一角に移転したあともお客さんはついてきてくれた。
客同士で友達になったり、mixiでサイトも立ち上がっていった。
「モノでしかないモノが、こうして人を結びつけるアイテムになる-」
高橋さんは自ら売るメガネそのものに、そんなことを教えてもらった。

そんな高橋さんのメガネ選びの極意がこちら。
遊び半分_e0030939_219023.jpg


















20周年の節目、契約更新の関係で、この「リュネットジュラ プチ」は幕引きし、
表参道ヒルズ店と統合した。

この知らせを定期的に届けられるセールのハガキで知った僕は、
話を聞きに行くがてら、新しいメガネを買おうと思い、足を運んだ。

遊び半分_e0030939_2193135.jpg果たして最後に高橋さんが選んでくれたのはやはり赤だった。

「確かに似合うね」
初代のモデルは絶句したが、2代目の赤いメガネは納得する妻であった。

by misejimai | 2009-06-30 02:10


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